日本にもある盗版Blog

私は中華圏の盗版(海賊版)CDが大嫌いなんだけど、最近はすでに盗版よりも下戴(ダウンロード)が幅を利かせているらしい。

香港の友達の友人は信和中心でCDショップを経営していて、盗版やら下戴の影響でCDが売れなくなったと嘆いていた。
曰く「CDなんか買うのはそのアイドルの熱狂的ファンだけ。朝新譜を店頭に並べて、昼にはもうタダでダウンロードできるんだ。そんな状況で誰がCDにお金を出す?」とのこと。

ほんこんからさぶかるるさんの「盗版Blogって一体...」という記事、タイトルを見た瞬間は「あー、どっかの記事を丸パクリしたBlogのことか」と思ったけど、映画や音楽の違法ダウンロードを無償で提供していた少年が捕まったという内容だった。

海賊版を無料配信「また少年の犯行!」衝撃走る 06/05/12 中国情報局
高中生個人網渉侵權被捕 600歌曲供下載 「服務網民」不為錢 06/05/12 明報(雅虎香港)

事件の詳細についてはほんこんからさぶかるるさんをご覧いただくとして、逮捕された少年は“無料で”、“ネットピープルのために”楽曲や映画を提供していたとのこと。
 
ここで「えっ?タダで提供してても捕まるの?」と思った方もいらっしゃるかもしれないが、捕まるんです。

香港と同じく日本もBlog流行りで、華流や中華POPS関連のBlogもすごい勢いで増えているが、ときどき楽曲の紹介として歌詞を貼り付け「試聴」と称して海外の違法ダウンロードサイトの音源にリンクしているBlogを見かけるが、それ、ヤバいですから。

日本と香港では多少法体系が違うかもしれないが、金銭の授受があるかどうかは関係なく、著作権侵害で侵害された側(著作権者)が訴えればそれは起訴されうる。
今回の事件は配布楽曲600曲、映画20本と度を超していたので、逮捕・PCなどの証拠物件没収ということに至ったのだろうが、音源の違法配布は面倒を巻き起こしかねない。

「海外のサーバーだから関係ない」
「自分の領域にUPしてるんじゃない。他人がやってるのにリンクしただけ」
「試聴だから関係ない」

はい、それ間違い。

アップロードしてあるのがどこの国のサイトであろうと、どこのサーバーであろうと、ストリーミング形式の試聴だろうと許可を得てなければ著作権侵害になってしまう。

特に大陸では非法下戴(違法ダウンロード)サイトが数多くあり、各種ポータルサイトも「MP3検索」なんて機能があるが、著作権を侵害してる違法ダウンロードであることは変わりない。

「中華圏の楽曲だから関係ない」

そう思う方もいるかもしれないが、日本の著作権管理団体である社団法人日本音楽著作権協会 JASRACと、台湾の社團法人中華著作權仲介協會 MUST、香港の香港作曲家及作詞家協會 CASH、シンガポールのCOMPASS、マレーシアの MACP、さらに中国の中国音乐著作权协会 mcscは“管理契約”を結んでいるので、JASRACの管理下にある楽曲が多数ある。

分かりやすいのが日本盤がCDが発売されているような楽曲。具体的に言うならば、ロックレコード関係やSONY華流キャンペーン関係など。
これらはおおむねJASRACの管理下に置かれている。
また、日本盤が発売されていなくても着メロサイトで配布されている曲、カラオケで歌える曲などは一部JASRACの管理楽曲だ。

このJASRACが絡むと、とてつもなく面倒。

「JASRAC」で検索するとどういうふうに面倒なのかがよく分かるんだけど(笑)、JASRACを考える。さんなんかを読んでいただければ大体のことはつかめると思う。
ちょっと前、牧歌組合~耳コピとエロジャケ~さんがJASRACから(#゚Д゚)ゴルァされた件はご存知の方もいるかと思う。

つまり、いきなり「削除するか金払え」と言われるわけ。
しかもその金額が大きかったりするので、普通は払えずに“削除”ってことになる。
レンタルBlogだと突然記事を削除されたり、最悪の場合アカウント削除されることもあるらしい。

私はべつにJASRACのやってることに全面賛成ではない。たとえばジャズ喫茶への巨額請求などは理不尽だと思う。けれど、著作権を侵害しているからには、そういったことがありうるということは知っておいた方が良いと思う。

もちろん信念を持って(?)無料で音源配布に務めている人はJASRACと正面から闘えばいいけれど、違法行為だと知らずに「試聴♪」だの「タダでDLできるよ」と音源配布や歌詞の掲載をしていて、いきなり「削除するか金払え」とメールが来たらBlog主も精神的ダメージを受けるだろう。

実際、中華圏の著作権管理はずるずるで、日本のように厳しくない。
MP3検索を使えば最新ヒット曲は無料でアルバム全曲、しかも歌詞付きでDLできる。
あちらのファンサイトやファンBlogはバンバン音源置いているし、MVも視聴もできる。
それを“常識”と勘違いすると「おー!こんなこと出来るんだ。私もやっちゃおう!」と安易に考える気持ちも分からなくはない。
確かに中華POPSを日本で耳にすることは難しく、他人に薦めるときに音源があればそれを聴かせてしまった方が早いという考え方も分かる。
けれどもそれは著作権者の権利を侵害している行為だということを理解して欲しい。

もしその音声ファイルが.wmaだったり、.rmや.mp3だったりすれば容易にダウンロードできてしまう。
全曲ダウンロードした人がちゃんとCDを買うだろうか?
あなたの行為はアーティストの営業妨害になっていないか?

そのあたりも考えて欲しい。

なおmp3検索である意味有名な百度(baidu)はBaiduに音楽ダウンロードサービスの停止命令(ITmedia記事キャッシュ)によれば、2005年9月にEMI系の上海步升音乐文化传播有限公司(Shanghai Busheng Music Culture Media)から起こされた訴訟に敗訴しており、それとは別にUniversal Music、Sony BMG、EMI Group、Warner Music Groupら4社からも訴えられている。

参考リンク:
中国の百度をソニーBMGなどが提訴-音楽の無償ダウンロードで 2005/09/16 bloomberg.net
搜索百度的问题 2005/08/11 东亚经济评论

追記:
わかりにくいところがあったので、具体例を出して説明し直しました。
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